サフランは雌しべを乾燥させたものが着色料や薬として利用されます。紀元前から栽培されており、古代から生薬などに利用されています。
学 名:Crocus sativus L.
英 名:Saffron crocus
和 名:サフラン(番紅花、泪夫蘭)
分 類:アヤメ科クロッカス属の球根植物、多年生
原産地:地中海沿岸地方およびヒマラヤ地方


10月下旬から11上旬にかけて薄紫色の甘い香りのある花を咲かせる。花弁は6枚で、花の中央には黄色い雄しべと赤く垂れ下がる雌しべがある。薬用や着色料に利用されるサフランは本種のみで、雌しべを乾燥して用いる。
スペインなどでは、サフランは畑で花を咲かせ、畑一面に開花し花を摘んでいる様子は秋の風物になっているそうですが、竹田市では室内で花を咲かせてる世界的に珍しい収穫方法が行われています。
竹田市での栽培は、1903年に竹田市玉来の吉良文平氏が神奈川県中郡国府村の添田辰五郎氏から球根を譲り受けたことに始まります。当初は病気の発生で栽培は思わしくありませんでしたが研究を続けた結果、畑よりも水田での栽培が適していることがわかり、さらに、植えていない球根に花が咲いているのに気づき、室内で花を咲かせる開花方法を考案しました。
 海外の場合は、開花する前に畑に球根を植えて畑で花を咲かせる方法が一般的で、乾燥する地域では一度植えると数年間植えたままにすることもあります。しかし、竹田市の方法は、室内で花を咲かせた後に球根を植ええ付け、そして、毎年初夏に球根を掘り上げるという方法であり、室内に球根がある間は水を一切与えません。
 日本では降雨が多いため畑で開花させると花を収穫できないともあるので、この方法は日本の気候に適した栽培方法といえます。また、畑で花を咲かせる方法に比べると花を摘みやすく、天候にも影響されないため飛躍的に生産が楽になり栽培が盛んになりました。
 独特な栽培方法と農家の繊細な手作業によって収穫された竹田産のサフランには、有効成分が外国産の数倍も含まれており、品質の高さは海外でも知られるようになっています。
開花の様子 室内での花の収穫
■開花・花摘み
10月下旬開花がい一斉に始まり、サフラン農家の家の周囲にはサフランの香りが漂い始める。花には赤く垂れ下がるめしべがあり、花が咲いたらまず花を摘み、その花からめしべのみを摘む。
■めしべ摘み
一つ一つの花から丁寧にめしべのみを摘み取る。この作業がサフラン栽培では最も重要で、手先の繊細さと忍耐を要する作業である。摘んだめしべは直ちに乾燥する。
■球根の植え付け
開花終了後、11月中下旬に稲刈りの終わった水田に球根を植え付ける。畑で花を咲かせる場合は、9月中に畑に球根を植えるが、竹田市の栽培方法では開花後に植えるので、11月中下旬の植え付けとなる。
水田は適度な水分を保ち、サフランの球根を育てるには非常に都合がよい。
■球根の収穫
4月下旬、新緑の頃に球根は十分に育ち、葉が枯れ始め、農家は田植えが始まるまでに球根を地中から掘り上げる。日本では梅雨があるなど降雨が多いので植えたままにすると球根が病気で腐敗する。夏期は球根は休眠しているので、秋になるまで保管しておき、9月中旬に再び開花室に入れられ、やがて開花を迎える。
めしべのみを摘み取る 手先の繊細さと忍耐を要する作業
☆サフランティー & サフランポンス☆ 
■サフランティーは一般的な飲用方法で純粋なサフランの風味と色を楽しみます。
 ・ティーカップにメシベを数本入れてお湯を注ぎ、そのまま飲用します。
■「ぽんす」は大分県特産のカボスを用いた伝統的な飲み物で、レモネードみたいなものです。
サフラン農家でサフランを入れて楽しんいます。
 ・湯呑みにカボス果汁とサフラン数本を入れ、適量の砂糖を加えてお湯を注ぐ。やや冷めた頃が飲み頃です。

☆サフラン酒(サフラン焼酎)☆
※グラニュー糖や蜂蜜で甘みを付けると飲みやすくなります。
その場で楽しむ場合
・お湯割りでは、グラスにサフラン数本を入れ、お湯と焼酎を注ぎます。
・水割りやロックは色が出にくいので、サフランをグラスに入れたら少量のお湯で色を出して焼酎を注ぎます。

☆サフランカクテル☆
ウオッカやドライジンなどのお酒をサフランで着色し、好みで様々なカクテルを楽しむことができます。
※サフランの量は一瓶20〜30本
例)・ウオッカ[メジャーカップ小1]
・ドライジン[メジャーカップ小1/5]
・シロップ[適量]・カボス果汁[数滴]・炭酸水[グラス1杯]
サフランは料理を黄色く着色する時に安心して利用できる天然色素で、
西洋では一般的に利用されています。
ご家庭で是非、オリジナルのサフラン料理にチャレンジしてみてください!

☆サフランライスの炊き方☆
色むらのない綺麗な黄色のサフランライスに仕上げるポイントは、直接めしべを加えないことで、まず湯飲みなどにサフランを適量入れ少量のお湯又を注いでサフランの色を出しこの水をご飯を炊くときに加えます。

○サフランをお湯に1時間程度浸し、炊く前に加えよくかき混ぜる

○炊き上がり
※お米3〜5号にサフラン20〜30本が目安ですが、何度か試して自分の好みの濃さを選びます。

☆料理類☆
煮物類やパエリアやブイヤベースでは、材料とサフランを適量加えて一緒に調理します。

☆お菓子類☆
パンや饅頭では生地にそのままサフランを加えると色むらが出るのでサフランで色を付けた水で生地を練ります。
■高価なサフラン
サフランは、花の雌しべであることから生産量は10a当たり1s程度と通常の農作物に比べると非常に僅かな量であり、1s雌しべを収穫するためには数万個の球根が必要となります。 このため、スパイスの中では最も高価とされており、1s当たりの小売り価格は百万円以上になり、価格が最も高かった頃の価値は金にも匹敵するといわれていました。
■世界の産地
最大の生産国はイランで、スペイン、ギリシア、 トルコなど地中海沿岸地方で栽培が盛んです。
■古代の利用方法
紀元前2千年以上前から薬として用いられ、様々な病気に用いられており、古代ローマではサフランは眠気を誘い、頭脳を明晰にし、媚薬としても用い られるとあります。美貌の女王クレオパトラもサフランを香料にした 化粧品を用いたと云われています。
■神話や物語の中のサフラン
サフランは栽培の歴史も古く、様々な物語に登場 します。ギリシア神話では花神フローラが草原で子羊のために咲かせた花がサフランであり、アンデルセン童話の「ある母親の話」では、死に神の元でサフランに姿を変えた子供が登場します。
■ヨーロッパへの伝来
ヨーロッパへは8世紀にアラビア人が伝えとされており、サフランの黄色は高貴な色として衣類の着色に利用され、16世紀以降になると一般の家庭でも 料理などに利用されるようになりました。イギリスでは、頭髪を染めることが流行し、国王 が自分の用いるサフランが入手できなくなると困るので、女官が頭髪を染めることを禁止したそうです。
■日本への伝来
日本へは江戸時代に花を乾燥させたものと雌しべが薬品として伝わりました。それまでもサフランは日本で紹介されていましたが、別物をサフランとしており、平賀源内が間違いを指摘して正しくサフランを紹介しそうです。
■日本での栽培
栽培は明治時代の後半から盛んになり、全国に産地がありましたが、現在では大分県竹田市のみが産地を維持しており、国内生産量のほとんどを占めています。
■現在の利用方法
主に料理の着色や生薬として用いられ、料理ではバレンシア地方の伝統的な料理であるパエリアとプロバンス地方のブイヤベースが有名で、サフランが欠かせません。薬としては血行促進作用があることから冷え性などに用いられ、また、通経剤とし婦人薬などにも利用され、最近の研究によると、サフランにはアルコ ール性の記憶障害を改善、発ガン予防、安眠促進効 果があることが確認されています。




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